太陽をかすめる彗星群の新しいグループ
（2002年6月2日）
SOHO衛星などで発見される太陽をかすめる彗星は、その殆どがクロイツ群(Kreuz sungrazing group)に属しますが、
最近になって、それ以外の新しいグループが見つかってきました。
新しいグループについてまとめてみました。
参照： [IAUC 7832]
[MPEC 2002-E18]
[MPEC 2002-E25]
[MPEC 2002-F43] など
Kreuzのグループ
太陽をかすめる彗星の殆どを占めるクロイツ群の軌道は概略つぎのとおりです。
（最近数ヶ月間にSOHOが発見した彗星の軌道のみを調査）
近日点距離が極端に小さく、逆行軌道です。
q(AU) Peri.(deg) Node(deg) Incl.(deg)
0.005〜0.008 58〜93 323〜018 139〜146
Meyerのグループ
Meyerのグループの軌道は概略つぎのとおりです。
近日点距離がKreuzグループの数倍で、軌道傾斜がかなり大きく垂直に近いです。
q(AU) Peri.(deg) Node(deg) Incl.(deg)
0.034〜0.038 54〜62 65〜76 70〜79
Marsdenのグループ
Marsdenのグループの軌道は概略つぎのとおりです。
近日点距離がKreuzグループの10倍近くあり、順行軌道です。近日点通過後には地球軌道に
近い位置を通るそうですが、殆ど全ての彗星が近日点で消滅してしまうので・・・。
q(AU) Peri.(deg) Node(deg) Incl.(deg)
0.041〜0.050 21〜27 80〜82 24〜28
Krachtのグループ
Krachtのグループの軌道は概略つぎのとおりです。
近日点距離がMarsdenグループとほぼ同じあり、順行軌道です。また、近日点の方向（近日点黄径・黄緯）が
Marsdenグループとほぼ同じであることから、拡張したMarsdenグループと考えられているようです。
q(AU) Peri.(deg) Node(deg) Incl.(deg)
0.043〜0.054 48〜68 32〜53 12〜14
（2021年7月10日）
Marsdenグループ、Krachtグループと、96P/Machholz彗星との関係
96P/Machholz短周期彗星は、摂動によって、その軌道が長期間で周期的に大きく変化します。
研究の結果、2319年における96Pの軌道要素は、Marsdenグループの軌道に類似していることが分かりました。
また、2408年における96Pの軌道要素は、Krachtグループの軌道に類似していることが分かりました。
従って、96P、Marsdenグループ、Krachtグループは、互いに関連があり、Marsdenグループ、Krachtグループは、
96Pから分裂したものかもしれません。（更に、おひつじ座昼間流星群 (Arietids)の軌道も、Marsdenグループ
と類似していることから、おひつじ座昼間流星群も含めて、互いに関連があることになります）
(以上は、Ohtsuka, Nakano & Yoshikawa, PASJ, 55 (2003), p. 321-324 による)
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